極微細蛍光内視鏡イメージングファイバー

 脳深部のイメージングを可能にする極微細蛍光内視鏡

これまで,細胞レベルの空間分解能で脳深部の機能イメージングを行うためには,多光子励起蛍光顕微鏡を用いる必要があった. この多光子励起蛍光顕微鏡は,高価であるだけでなく,1 mm 以下の深さのイメージングにしか適用することができないため,げっ歯類など小型動物の大脳皮質の研究にしか用いられてこなかった. 本蛍光内視鏡は,円筒形の GRIN レンズと 1 万本の光ファイバーを束ねたイメージファイバ―から構成され,先端径 350 m と低い侵襲度を保ちつつ, 単一細胞を認識できる高い空間分解能を持ち,GFP 発現細胞の可視化だけでなく,カルシウムイメージングなどの機能イメージングに用いることができる (Osanai et al., 2013).


極微細蛍光内視鏡先端部の写真


極微細蛍光内視鏡構造図

極微細蛍光内視鏡専用イメージング装置.大きさは 30 cm 四方程度.極微細蛍光内視鏡構造図

本システムでとらえた GAD67-GFP ノックインマウスの GFP 蛍光像.GABA ニューロンを可視化することができている.

 極微細蛍光内視鏡専用の小型イメージングシステム

我々が開発した極微細蛍光内視鏡は既存の蛍光顕微鏡に結合することもできるが,in vivo 実験のために,専用の小型イメージングシステムを株式会社ルシールと共同で開発した. このイメージングシステムは 30 cm 四方と小型であり,光ファイバー経由で励起光源を取り付けることができるため,設置場所の自由度が高い. 加えて,蛍光観察ポートは C マウントになっているため,ユーザーが自由に撮像デバイスを選ぶことができる. さらに,オプトジェネティクス用の刺激光導入ポートも備えているため,光刺激も行うことができる. このシステムと極微細蛍光内視鏡を組み合わせることにより,カルシウムイメージングだけでなく, マウス及びサルで内因性蛍光タンパク質であるフラビンタンパク質の蛍光強度変化を捉えることにも成功しており,ラベルフリーイメージングにも応用できる.

in vivo フラビン蛍光イメージング実験の様子

眼にフラッシュランプで刺激を与えた際に光刺激に同期して蛍光量の変化が観察された領域.

Region 1, 2 の蛍光強度の経時変化.時間 0 で刺激が入っている.